職場環境の改善がカギ

介護業界は、慢性的な人手不足に悩まされている。高齢化の進行で介護が必要な高齢者は増え続けているが、これに対応できるほど、スタッフの数は増えていないのが現状だ。
人手不足の解決は、介護業界にとって重要な課題だ。その対策の1つとして、離職したスタッフと潜在介護福祉士(介護福祉士の資格があるのに介護職で働いていない人)の復職が考えられている。具体的な対策として、自治体や福祉団体が、ブランクがある人向けの再研修を実施しているようだ。また、復職へ向けた準備金の貸付制度も存在する。知識と技術面のサポートと経済的なサポートによって、介護職へ復帰する人は一定数存在するだろう。しかし、これだけは十分といえない。
介護労働安定センターの調査によると、介護職を辞めた理由として最も多いのが、職場の人間関係への不満である。次に多いのが、施設の理念や運営への不満で、この2つで半数近くになるのだ。同じ調査による介護職を選んだ理由として最も多いのが働きがいであり、これだけで半数を超える。つまり、働きがいを求めて介護職を選んだものの、職場の人間関係や理想とは異なる施設の運営方針に嫌気がさして、離職した人が多いと考えられるだろう。
これを考慮すると、知識や技術面のサポート・経済的なサポートだけで復職する人が、大幅に増えるとは考えにくい。もちろん、低賃金や重労働という労働環境に嫌気がさして、離職した人も多くいる。しかし、半数の人が働きがいを求めて介護の仕事を選ぶ状況にありながら、それに応えられていない職場環境の改善も問題だ。

~介護職への復職について~